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2018-01-02

完全大血管転位症 予定日より、9日遅れでやっと生まれる!潮が生まれた日 潮のストーリー①

今日は潮生後19日
お昼の面会で4回目の抱っこさせてもらいました。1、2、3回目は色んな管があるので、数分の抱っこを許されましたがまさかのギャン泣きでドラマにはならないような現実的な展開にも元気な泣き声が聴ける事が嬉しく思いました。今日は管が減ってきた事で座ってゆっくりずっと抱っこさせてもらえました。2時間の面会時間ずっと抱っこしました。今日の潮は泣かずに安心したように私の腕の中で寝てくれました。生後19日ではじめて寝かしつけました。
かわいすぎて持って帰りたいけど、我慢します。


潮が産まれた日のこと 潮のストーリーのはじまり

妊娠35週 36週 胎児小さめ 助産院で産みたかったなぁ 潮の産まれるまでのストーリー①

妊娠37週 あかちゃん小さめの原因 さらに大きな病院に紹介状を、持って行くことに。。。潮の生まれるまでのストーリー②

完全大血管転位症 先天性心疾患と診断された日の事 潮の生まれるまでのストーリー③

完全大血管転位症 循環器の先生に詳しくエコーを見てもらい、詳しく説明を受けた日 潮の生まれるまでのストーリー④

完全大血管転位症 潮が生まれるまでの23日間 潮の生まれるまでのストーリー⑤

12月14日 木曜日
妊娠41週 2日 予定日+9日目

いい天気でした。
この病院は港町にあるのでキリンが窓からたくさん見えます。
この日は朝日が綺麗で習いたての一眼レフで写真を撮りました。
いい写真やなぁと朝から陣痛もなくまた編み物をはじめました。

9時40分頃に陣痛を誘発する点滴がはじまりました。

すぐ痛くなりますか!?
くる!?陣痛すぐくる!?

誘発の点滴したら、いきなり陣痛きてしんどいでーと何人からも聞いていたので、恐怖でした。

看護師さんは、
そんなに強いお薬じゃないし、はじめは少量から1時間毎に量を増やしていくので、じんわりじわじわきますよ〜
もぅ今日は生まれるね!

先生も看護師さんも助産師さんもみんな今日は生まれるよ〜とにやにやしながらきました。
パパも、仕事行ってもいつ呼ばれるかと思うと仕事にならんと、今日は仕事を休んで病院に来ました。

ほんまかいな。
ほんまに今日生まれるんかいなと私は思っていました。

じんわりじわじわ、本当にゆるーく11時頃から陣痛が始まりました。

14時頃までは余裕があり友達とLineして、笑っていましたが、じんわりじわじわの陣痛にしびれをきらした助産師さんが、
おっぱいマッサージしよ!それで陣痛強くなるでしょう!
とおっぱいマッサージされました。

効果は覿面でした。

腰やらおしりやら痛くなり、くるっ
陣痛がくる!とパパにもっと強くおして
そこじゃない
ここやん

パパも3人目ということもあり
いい働きでした。ばっちりでした。
それからはあれよあれよと、
子宮口が8センチ
陣痛の2.3分間隔で陣痛室に移動しました。

上2人の出産の時は、やれ歩けやれ歩けと、陣痛痛いのに助産師さんオニやなと思っていましたが、今回は赤ちゃんがしんどくならないようにずっとベッドの上でモニターをつけたままだったので歩きたかったです。

ベッドごと押して行くと言われましたが、歩いて行く方が陣痛がくると思ったので
歩きます!歩かしてください!!
と言い歩いて行きました。
50メートルほどの移動でしたがゆっくり途中陣痛がくると立ち止まりしっかり呼吸を整えてまた歩きました。

痛い。かなり痛い。だいぶ痛い。
この痛さはもぅ産まれる前のヤツやたぶん。。
陣痛室について助産師さんに
もぅ産まれるよ!と言われ泣きました。
「どうしたの??大丈夫??」
と助産師さんに言われましたが
「痛い」と言って泣きました。
実際大丈夫なわけない痛さでしたが、
ほんとは生まれる赤ちゃんが心配で泣きました。生まれたらこの子はしんどくなる。今からこの子の試練がはじまる。
5分もたたず、モニターの赤ちゃんが陣痛とともに140以上の心拍が108ぐらいになり、
ピコピコピコピコと早かった心拍がスローモーションになったような音にかわり、
「もぅ赤ちゃん下がってきてる!」
と言われ横の分娩室に移動しました。

分娩室には慌ただしく産科の先生、助産師さんも4人ぐらい、知らない看護師さんも4人ぐらい集まってきました。

もぅパパはバイバイです。
「カメラ大丈夫!?写真ちゃんととってなー!」
と言って分娩室の扉は閉まりました。
パパは一眼レフの使い方を知らないので赤ちゃんの写真がちゃんと残るか心配でした。
病室であわせた設定より、廊下暗いやん
写真真っ暗なるやん。。
でも写真の心配をしている場合じゃなく、
もぅ分娩台に乗った時にはいきみたくなり、
いきんでいい!?!?
と聞きましたが、
小児科の先生が、まだきてないから我慢して!!!!
と言われましたが
そんなもん我慢できるか
と思いながらも、赤ちゃんのためやと思い
一回我慢しました。

もぅムリ次は我慢できん
と思った時小児科の先生がきて

思いっきりいきみました。

こぼうずの時は1回目にいきんだ時にパンっと破水して、その後2回いきんで生まれました。

思いっきりいきんだけど、痛いだけで破水せず痛すぎてまたすぐいきみました。
助産師さんがハサミみたいなのを持っていたので多分破水させてくれて、
次いきんだ時に産まれました。

「はぁはぁはぁはぁ。。。痛かった。。。」

分娩室には生まれた赤ちゃんの泣き声は響かず自分の声とおめでとうが聞こえてきました。

おめでとう産まれたよーと先生や助産師さんが言ってくれていました。

すぐ赤ちゃんを見ましたが赤ちゃんはグレーと言うか知ってる赤ちゃんの色ではなく
小さく、ケホケホ
と咳のような弱々しい泣き声が一瞬聞こえてきました。

泣く元気ないんや泣かへんと思ってなかったな。。
色もやっぱり違うねんな。。
チアノーゼの色なんかな。。
みんな淡々としてるからこんなもんなんかな。。
大丈夫なんかな。。
冷静に色々思いました。

あかちゃんはすぐ、分娩台の斜め前の私から見える赤ちゃんの処置をするベットに連れていかれ、
体を拭いてさすっている看護師さんや小児科の先生は口から羊水を吸引して、すぐ挿管してチューブを入れて、酸素を送っていました。

助産師さんが
「赤ちゃんが楽になるように小児科の先生が酸素送ってくれてるからね」教えてくれました。

やっぱり挿管するんや。。
呼吸しんどいんや。。
チアノーゼひどいんかな。。
この病気の子はみんなこーなんかな。。
みーくん(こぼうず)ににてるな。。
なんか思ってたより大きそうやなぁ。。

産科の先生は私に赤ちゃんが見えるように、赤ちゃんを隠さないよう私の処置をしてくれました。

私の処置をしている先生や助産師さんがだんだんと赤ちゃんをちらっと見るようになったので、少し心配になりました。

普通じゃないの。。
普通よりしんどそうなん。。
だからみんなちらちらみてるん。。

色々思いましたが、怖くて何も聞けませんでした。

痛い。
上の2人が産まれた後って痛さ感じんかったのに
痛いやん。
ずっと痛い。
赤ちゃん抱っこして痛さ感じんかっただけやねんな。。
痛い。
私は胎盤を出す処置をされていましたが、上2人と同じ処置なのに全部痛かった。。
ずっと苦しいまま。。
赤ちゃんの処置が終わったようで小児科の先生が抱っこして横に連れて来てくれました。
先生「今からNICUで詳しく診てまた、お母さんにお知らせしますね。」
私「よろしくおねがいします。」

ほんとは抱っこしていいですか?って聞きたかったけど聞けませんでした。

赤ちゃんは目を閉じたままで色は赤くなく、グレーというか酸素がまわってないんやなと私でも見ただけでわかりました。

そのまま赤ちゃんは酸素を送ってもらいながら保育器に入ってNICUにいきました。

まだ分娩して数分です。

なんか、知ってるお産と真逆のお産やな。。
お産て喜びとか笑顔、達成感、安堵、幸せ感謝とかいい感情のオンパレードやったのにな。。
みんな笑顔で明るい雰囲気で。。

今は不安と痛みしかない。
泣きそうや。
泣きそうやと思った時にはもぅ涙が溢れて流れ出していました。
静かに涙が流れていきました。

他に生まれそうな赤ちゃんがいたようで、あんなに沢山いた人がすーっといつのまにかいなくなりました。
赤ちゃんがNICUに移動した後は朝からずっとついていてくれた助産師さんと2人。。
切なすぎるわ。。
赤ちゃんもおらへんしパパさえもおらへん。

助産師さんは
「小児科の先生も心臓みてくれる先生もここには腕のいい先生沢山いるから安心してね。」

産まれる前からお産中はすごい頼りある感じの助産師さんやったのにお産終わったらむっちゃ顔が柔らかい表情にかわったなぁこの人。

助産師さんは、多分私よりはるかに若い女の子でした。

この人は、助産師になってから、ここの病院でこういう異様な空気のお産ばっかりみてきたんかな。。いい子やから。。
幸せなお産経験してほしいな。。
心からおめでとう!赤ちゃん産まれてよかったねって
お母さんに赤ちゃん抱っこすぐさせてあげれるお産経験したことあるんかな。。

余計なお世話ですが、他に考える事が何もなく考えてしまいました。

私の処置が終わってからパパが分娩室に入ってきました。

私「ばり痛かったわー全然楽ちゃうかったし。写真とれたー?結構大きくなかった?みーくんそっくりやったよなぁ」

今まで3000g以上で2人産んでいたので、2000g代だとちょっと楽かもと思っていました。

パパ「結構でかかったよなぁー
みーに似てたなぁ写真バッチリやで!でもさー暗かったわぁ」

ばっちりちゃうやん!暗かったらあかんやん!と言いながら写真を見せてもらいました。

ブレてないから後で補正したらよくなるなぁ
よかったー。

助産師さんが一瞬いなくなった時に2人で話しました。

私「なぁなぁ色悪かったよなぁ大丈夫なんかなぁ泣かんくてさぁ、すぐ挿管されてんけど、そーやって言うてたっけ。。」

パパ「そーかな?みんなあんな色じゃなかった?挿管した方が楽な場合もあるって言うてたんちゃうかなぁ。それより、陣痛室何もないしおめでとうございますって聞こえるけど、当分放置やったからなんかあったんかと心配したわ」

いやっあんな色ちゃうかったやろと思いましたが出産の痛みも残ったまま後陣痛がもぅすでに痛すぎて、お薬が欲しかったので助産師さんを呼んできてもらいました。

2人目を産んだ時はすぐに鎮痛剤を飲ませてくれたけど、ここでは出産後2時間はお薬我慢してという事でした。

後陣痛は子宮が収縮する痛みです。元の小さな子宮に戻るために収縮するのですが、産めば産むほど収縮が早くなり痛みは増します。
私も1人目より2人目、2人目より3人目の方が遥かに耐えがたい痛みでした。

分娩室から陣痛室へ移動し産後の2時間ここで過ごすようです。

17時頃、さっきの小児科の先生がきて説明がはじまりました。

パパはソファーに座り、私はベッドに座り話をききました。

「赤ちゃんが生まれた時に、チアノーゼがあり呼吸がしんどそうだったので口から管を入れて酸素を送る処置をしました。お腹にいた時の診断通り完全大血管転位症1型で間違いなさそうです。今循環器の先生がお腹の中にいた時に見れなかった細かなところをエコーで見ているので、また循環器の先生からも説明があると思います。あと、赤ちゃんが呼吸がしんどい原因が肺にあるかもしれないのですが、もしかしたら、お産が急に進んだことで赤ちゃんがしんどくなったのかもしれませんが、まだそれも原因は不明です。」

パパも私も質問する事もなく、
「わかりました。ありがとうございます。」とだけ言いました。
お産が急に進んだことで肺がしんどくなったってなんやろ。。
ネットにお産で赤ちゃんの肺が破れる事があるって見たことあるけど、それかな。。
それで今は大丈夫なんかな。。色々思う事はありましたが、質問する勇気がありませんでした。

その後17時半頃に
はじめて見る女の先生と研修医の若い女の子がここにきました。
赤ちゃんの診察を終えた循環器の先生でした。

すごく、すごく優しい口調の笑顔のかわいい先生でした。
さっきの先生もまず、出産直後ですがお母さん体調は大丈夫ですか?と気遣ってくれました。

先生「ご出産おめでとうございます。NICUで赤ちゃんの心臓をエコーで詳しく見せてもらいました。出産前に見てたより、動脈管が狭く酸素がたっぷり入ってる血が体にまわらずチアノーゼになっています。このままだと体に十分な酸素が回らず脳にも良くないので、急な事なんですが、1時間後の18時半にオペ室が空くのでカテーテルの手術を行いたいです。どんな処置かと言うと、足の太ももの太い血管から細い管を入れて心臓の動脈管のところで管の先にある風船を膨らませて、動脈管を3ミリぐらいに広げる処置です。それで動脈管が広がると当初から予定している心臓の血管を入れ換える手術をするまで安心かなぁと思っています。お母さん出産終えたばっかりで心配だとおもいますが。。このご病気のお子さんも元気になって退院していく子が沢山いますよ。」と優しくおっしゃってくださいました。

そして同意書。

麻酔の同意書
輸血の同意書
血液製剤の同意書
カテーテルの同意書
他にもあったかもしれませんが。。

同意書にはリスクが書いてあり、先生が全部読んで聞かせて説明してくれます。

例えばカテーテルの先の風船がまれに破れて体内に残り、それを取り除くために開胸する処置をする事がある。
輸血でHIVに感染する事がある。
など、怖い事しか書いていません。

でも同意するしかありません。

話の途中から静かに泣いてしまいました。涙が次から次に溢れてきて止まりませんでした。
あかん方やったんや。
全部あかんほうになるやん。
やっぱりチアノーゼひどかったんや。
すぐ処置せなあかんて大変な状況って事やん。

私は先生に「大丈夫です。よろしくおねがいします。」と泣きながらいいました。
泣き止む事なんか到底ムリでした。

先生が部屋をでて夫婦だけになり、

ベットに伏せて声を出して子どものように泣きました。

パパ「大丈夫?」

私「大丈夫じゃないやろ」

言ってから冷静になり、泣いてもしょうがない。
深呼吸して呼吸を整え泣き止みました。

この頃から、私は泣いたらあかんと思ってるんやなと気づきはじめました。

「大丈夫?」って聞かれたら「大丈夫」って答えなあかんと思ってる。

でも、全然大丈夫じゃないし、泣きたくなくても泣いてしまう。

大丈夫なわけないやん
心配でしょうがないし不安しかない。
それ以外なにもない。
産まれて泣き声も聞けず抱っこもできず今ここに赤ちゃんはいない。

今できる事は同意書にサインしてオペが成功するのを信じるだけ。

つづく。。。

うしおが生まれた時のしんどそうな写真を載せるか迷っていましたが、今からこの病気で生まれてくる赤ちゃんのお母さん達がすこしでも覚悟できるように。。のせることにしました。うしおは冒頭の写真のようにもぅ今は健康ないい赤ちゃん色ですよー♡


分娩室からでてはじめてパパに会った潮の写真です。

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